神の子どもたちはみな踊る

pioneern2004-11-07

これは村上春樹氏が阪神淡路大震災の後に
書き下ろした短編を集めた短編集です。
どの物語にも必ず地震に関するエピソードが
出てくるようになっています。


今までもいくつか村上氏の短編集を読みましたが
この短編集には、なごめる作品が収められていると思います。
それは、地震という大きな出来事で失われた命や感情を
思いやる気持ちの表れなのか、それとも痛みや喪失感を
村上流のやり方で表現したからなのかは分かりませんが
こんなに読後に一番ほっとした気持ちになることができました。


「UFOが釧路に降りる」という村上ワールドな話から
始まって、「アイロンのある風景」「神の子たちはみな踊る」
タイランド」とワールドを全開にしつつ
「かえるくん、東京を救う」では、村上ワールドが炸裂し
これでもかというほど世界を浴びせた後、
最後の「蜂蜜パイ」で気持ちよく締めくくられた、
この短編集は今までの短編集の中でも一番好きな短編集です。