人生の旋律

pioneern2005-07-22

戦前から戦後の混乱期を逞しく生き抜いた
近藤藤太という実在の人物の人生を描いた物語です。
この方の人生は、本当にドラマのように激しくアップダウンを
繰り返し、本人を翻弄しながら進んでいきます。
子供の頃に皇室並みの生活をしていたかと思いきや
父親の投資の失敗で一気に家のない生活に…
戦後、貿易会社を興し唸るほどのお金を稼ぎ
リトルヒットラー、大名と呼ばれるまでに登りつめます。
しかし、結局会社は倒産してしまい、手元に残ったお金が6千円…
そこからフルコミッションの百科事典の訪問販売や
英会話講師としてテレビに出演して
9年間かかって借金を返済します。
波乱万丈の人生で、本当に読んでいるだけでハラハラします。


こうした人生を通して、今後訪れるかもしれない
混乱期を生き抜く知恵を得ようというのが著者の意図です。
著者は歴史を70年周期で見たときに
1935年から1945年に日本が経験した戦争と戦後の社会的価値の大逆転が
2005年から2015年に起こるかもしれないと言っています。
その時に、参考になるのが、1935年から1945年を
体験した世代の知恵だと言っています。
なるほど、それも一理あるかもしれません。
しかし、それを差し置いて、トウタの人生を本を通して
感じるだけでも価値のある本だと思います。


今、この日本で安全に幸せに生活できることに感謝し
この本を読むことができることに感謝し
この本を出してくれた著者に感謝したいと思います。